トゥルキスタン夜話

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2009.05.16 Saturday

4分間のピアニスト

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    ビアン映画と老嬢映画が好きな私も、この二つの要素が合わさることがあろうとは、夢にもおもわなんだよ(笑)

    ビアンで老嬢!
    しかも80歳!

    今まで見た「映画のなかのビアン」で最高齢はウーマン・ラブ・ウーマンの70歳くらいのカップルだと思うけど、さすがに80歳のビアンて、初めてみました(笑)
    そのうちNHKの百歳万歳とかにも「わしゃあ、レズじゃけんのう!」とか言って、矍鑠としたおばあさんがでてくる日も近いのかもしれない。
    (実は私、この番組が好き。で、百歳万歳に出る人ってみんな異性愛者で子孫繁栄型が多いの。やはり生物学的に勝ち組なのか?)

    まあ、同性愛者が老嬢化するって、よく考えると実は当然の帰結なんだけど(笑)、あまり映画には登場しないのはなぜだろう。
    同「性」愛者ってからには性を描きがちで、それは相手がいないと成り立たないことだから、孤独な老嬢じゃしょうがないじゃん、ということか。
    しかし、当然のことながら、伴侶がいない、それどころかいたこともない孤独な同性愛者なんて世の中にはたくさんいる。
    伴侶がいない、いたこともない異性愛者が腐るほどいるのと同じことだ。

    この映画は若き日に愛した女を裏切って死に追いやったことがトラウマで、そのまま60年間孤独に沈潜していた老嬢の最後の恋の物語である。
    そう、ビアンの恋愛モノなの。
    ピアノだ、音楽だ、才能だってのはあくまで「環境」設定の話、だと私は思う。

    「個人的な興味はない、あなたにはピアノを教えるだけ」という言葉っつらになんかだまされちゃいかん。
    これは実は「ピアノなんかどうでもいい。あなたに個人的な興味しかない」という映画だ。
    (だからピアノの練習を一生懸命頑張る、とかそういうシーンがあまりないの。どうでもいいからないわけで。)

    そしてその恋、というのがとてもスリリングなのだ。
    なんでこんなひっつめ髪の地味な老嬢(80)が「女囚さそり?」みたいな超凶暴なアバズレ(20)に恋をするかな。。。
    よくもこんな「むりくり」な設定考えたな〜、と感心してしまう。

    年齢的にも60歳年下です。
    ひょっとしてこのおばあ様、20歳前後の女が好きなひとなのかも。

    実は私、その気分がわかる(笑)
    「若気の至り」の同性愛から卒業してしまった、ような人のなかには結構いると思うんだけど、つまりは「若い同性」が好きなわけ。
    だから、同性愛者であっても、老けた自分と釣り合うような年の同性には全く興味ない、というのも結構あるはなしだ。
    年をとった女というのは「男(性的興味ナシ)」のカテゴリーに入ってしまうから、興味がすっかりなくなる(笑)
    美少女趣味、なわけだけど、男性と違って女性は、札束で少女を買うようなことはあまりしない。
    必然的に、潔癖な人は「老嬢」になり、潔癖じゃない人は異性愛者に転向したりする…。
    (少女と付き合えないなら、誰と付き合ったところで同じだし、年よりの女と付き合うよりは、男と付き合ったほうが世間的な摩擦がなくてすむから)

    とにかくこの映画、日本の漫画にありがちな、努力根性映画でも音楽映画でもないこと、それがすごい。
    そういう映画なんだろうな、と観客を騙しつつひっぱってきて、最後のシーンで、それらの要素をすべて拒絶している(その拒絶に気づかぬ鈍感な人は「変なラストシーン」だと批判するw)。
    80歳のビアンと20歳のノンケの、不可能なる愛、相容れぬ魂と魂の相克に焦点をしぼってしまう。

    (相容れぬ、ではないかも。クラッシックしか受け付けない、ジャズのような「俗謡」を否定するこの80歳の老嬢のなかに、あの鬼気迫る鍵盤の乱打に似た魂が潜んでいる。若い女はそれを暴いてみせていてる。
    老嬢は無意識のうちに、この凶暴女が「私以上に私だから」「真の自分の姿をいつか暴くから」愛したのではないのか?)

    そう、「羊たちの沈黙」が恋愛映画であるような意味で、究極の恋愛映画なのだ、これ。
    たぶんたいていの日本人はこれをビアン映画と割り切れないがために(たぶん音楽分野における主人公成長映画だと信じてしまうと思う。花の24年組かよw)、
    ラストシーンに納得がいかないかもしれないが、最初から最後まで恋愛「しか」描いていないとしてみると、このラストの必然性がわかるはず。

    あと、「ゲルマン・ビアンの系譜」ってありますよね。
    ほら、1920年代ベルリン、初のビアン雑誌「女友達」が創刊されたころの、つかのまのモダンガールの楽園のことですよ。
    「制服の処女(1931)」とかさあ、、、懐かしいわあ。(いくつだよ、私?)
    そんなナチス台頭前のベルリン・ビアンへのオマージュ的シーンが美しい映画でもあります。
    鋼鉄のプロイセン魂に秘められた、甘やかな同性愛の追憶、…しびれます。


    ただ…おなごがブサイクなのはどーにかならんかのう…。
    なんでリアリティあふれるビアン映画ってのはわざわざブスを選ぶんかのう…。
    異性愛だったら、平気で臆面もなく美化するくせにい…。

    女性同性愛は美化禁止なんですかね?
    「めぐりあう時間たち」で二コール・キッドマンはわざわざつけ鼻をしてたし、「モンスター」のシャーリーズ・セロンも醜悪加工たっぷりだった。
    「ボーイズ・ドント・クライ」のヒラリー・スワンクはもともとアレだし(笑)
    ビアン映画に出演する女優さんたちは、そもそも皆ブスだし、そうでなければ、皆なんらかのブサイク加工をほどこして主演女優賞をとってらっしゃる。
    ひどくない?なんで誰もこの状況に文句言わないの?
    「美アン」なLの世界を見習えっての。
    てかいまいちこのドラマの評価が高くないのはたぶん「レズのくせにみんな美人」だからかもしれない、と思い当たった。

    ところでこの映画のレビューを読むとほんとイライラする。
    http://www.eigaseikatu.com/imp/18490/
    わかってねーなー。。。と思ってしまう(笑)
    あのな、これ同性愛映画だってば。
    ビアン告白を「無用」だとか言うなよ。

    http://www.eigaseikatu.com/imp/18490/335146/

    必要がないわけないだろうが(笑)


    http://www.eigaseikatu.com/imp/18490/368200/

    だから、80婆が恋に落ちたんだってば!そんだけの映画だっつーの。「つじつま」はソコであってるの!


    http://www.eigaseikatu.com/imp/18490/324265/

    彼女がずっと愛しているのは音楽じゃない。「女」だ。


    http://www.eigaseikatu.com/imp/18490/321178/

    いいセンスしている。ノンケには惜しい(笑)


    http://www.eigaseikatu.com/imp/18490/315607/

    レズのばあさんの最後の恋の話なの!!昔からずっとレズじゃないと説得力がないだろうが。ばっちり絡まってるよ。


    http://www.eigaseikatu.com/imp/18490/487395/

    意味がないどころか、「バアサンの過去」が主題なんだよっ!

    18:52 2009/05/16

    あー、暇人なことをしているなあ、私。。。春うらら。


    とかなんとかつらつら書いているうちに、主演女優が亡くなった。
    彼女がちょうど病魔と闘っている最中に、その出演作を見させてもらった、というわけか…。
    その名演はしかと見届けた。我が骨肉となったでござる。安らかに眠れ。


    NOT:
    私が大好きな100歳万歳出演者のなかでも一番のイケメン、それは加藤碩三さん。
    100歳のイケメン、って日本に彼しかいないと思う。
    どうぞ、いつまでもかっこよく生きてくだされ。

    http://www.nhk.or.jp/100banzai/file/2006/0916/index.html

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