トゥルキスタン夜話

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2009.11.22 Sunday

セルカンは記憶される(アヌルル)

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    トゥルキスタン以前から何度もトルコのテレビに出演していた世紀の大天才セルカン先生だが、ついにその「正体」をテレビに暴かれることになった。

    トルコのテレビ局ATVのニュース
    (3分37秒から)

    相変わらず体調悪いので、冒頭部分だけ訳すと…。
    トルコ人が日本で詐欺を働き、多額の金を巻き上げたことが発覚しました。宇宙飛行士を自称するセルカン・アニリール(アヌルル)というトルコ人科学者が、日本の国家プロジェクトに自分を売り込んだそうです。しかし彼の自称や過去の経歴は全て嘘だったことが明らかになりました。日本政府に与えた損害は1000億トルコリラ(6兆円?!)にのぼるこということです。

    6兆円とは…国家予算級の大詐欺師だ(笑)
    見慣れない日本人は驚くと思うが、トルコのメディアは誇張というか、嘘ばかり流すので、細部は見逃してやってほしい。
    とにかく、人気テレビ局ATVがセルカン事件を報道したこと自体を褒めてやりたい。
    (でも、日本のマスコミも外部からみたら、きっとこれ以上に「大筋で」狂っているんだと思う。恐ろしいことに)

    ちなみに、JAXAは独立行政法人であって、官庁ではないが、セルカン自身がトルコで「官庁である」「自分は日本の准公務員である」ということをさんざん吹聴しているので、トルコのマスコミでは未だにそういうことになってしまっている。

    はっきりいって、この件、トルコと日本、どっちがより騙されたか、といえば私は五分五分ではないかと思う。セルカンはトルコでも嘘を付きまくっているし、トルコ政府の金もずいぶん「だまし取っている」。

    現在、彼がトルコ語ブログで行っている「いいわけ」も「ウソと真実と、嘘ではないけど本当ではない事」がまじりあっている感じ。
    全体的に、以前の大胆さは影をひそめ、読者が忘れたと思ってか、ずいぶん控え目な経歴に書き換えられている。
    東大助教授やらJAXA講師(ドキュメンタリー番組のなかで、自分が日本人に先端技術を教えてやっていると放言)やらを自称するのはやめたらしい(今更、やめたって遅いだろ!)
    ブログ内でセルカン自身、日本政府の文部省プログラムで1999年に初めて東大に留学した、と本当のことを書いている(スキー云々は法螺)。

    つまりアンカラ大使館での面接は1998年に受けているのだ。その時のセルカンを面接し、選考にあたったのは
    Embassy of Japan in Turkey
    Second secretary Mitsuhiro Toyama
    という御仁である可能性が高い。トルコのサイトに転がっている色々なから、彼が当時そういう仕事を担当していたことがわかる(これをして文化担当官という)。
    出身大学はここで、現在ウズベキスタンに居るようだ
    この外交官に事情を聞けば、その後10年以上にも及んだこの珍事の発端部分が完全に解明されるのかもしれない(笑)

    セルカンを日本に送り込んだ張本人が日本人ならば、セルカンのことを最初にトルコのマスコミ界に紹介したのは、ムラト・ビルセルというトルコ人記者である。彼の書いたものより古い記事は見つからない。
    彼は最初に新聞記事を書き、その後、自分が司会のテレビ番組にゲストとしてセルカンを招き、天才宇宙飛行士として紹介した。
    テレビの影響力はやはり絶大で、トルコの「巨大掲示板」内のセルカンスレ(論調は最初は絶賛、今は批判)はまさにその日に立っている。

    このムラト・ビルセルの嫁はATVの某有名ドラマの脚本家兼看板女優である。つまりATVとは家族ぐるみで関係が深いわけで、自分が世間に紹介した人間がATVで詐欺師として報道されるのは複雑な心境だろう。

    このニュース画像には2003年に作られたと思われるmade in japanというドキュメント番組が使われているが(その中でセルカン先生は「科学とは金である!」という彼の品性にふさわしい名言を吐く。)、たぶんその制作に裏で絡んでいるのもムラト・ビルセルだ。彼がVATANに書いた記事そっくりのナレーションが入るからである。

    さらにはムラト・ビルセルはイスメット・ビルセル大使の甥である。
    イランイラク戦争の時の日本人救出作戦への功績をたたえられ、2006年の「小泉首相の訪土」がきっかけで叙勲された、あのイスメット・ビルセル氏である。(旭日重綬賞)

    ビルセル家というのはイズミルの超名門で、日本でいえば「鳩山」とか「麻生」クラス。セルカンのような出稼ぎ労働者のコセガレがトルコ国内で近づこうと思っても難しい。しかし、ふたりは2003年、日本で出会ってしまう。旅先だからこそ成立した邂逅だったことだろう。勿論、仲介者は日本人である。


    コメント

    あら、凄いエントリを有り難うございます。

    >ビルセル家というのはイズミルの超名門で、日本でいえば「鳩山」とか「麻生」クラス。
    >セルカンのような出稼ぎ労働者のコセガレがトルコ国内で近づこうと思っても難しい

    なるほど、今回の事件のカラクリを
    だんだんと理解できるようになってきました。
    2009/11/23 12:01 AM by ないとん
    いえいえ。
    このくらいの情報開示しかできず恐縮でございます。

    カラクリはかなり興味深いですよね。
    それこそ一冊の本にまとめたら「タイムマシン」よりずっと面白くなりそうです。
    2009/11/23 11:55 PM by 蜜月

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